温かい季節の初めには、体内の気血の流れが活発に働き、代謝が上がることでエネルギー消費量も増えていきます。冬に貯えたエネルギーを使い始める季節ということから、春は解毒の季節ともいえますね。
しかし、気血の流れが活発になるということは、病気の素も動きやすくなるということ。眠っていた病が目を覚ましたり、慢性的な病が悪化したりと様々な病気の発生がこの季節に目立ちます。温かい季節の初めには転勤や引越し、入社や入学と新しい環境でのスタートによって、精神面のストレスや体への疲労が蓄積される心配な季節でもあります。また、お祝いの行事やお花見に合わせてお酒やご馳走をいただく機会も増えるでしょう。肝臓の働きをいつも以上に活発にし、負担をかけてしまうのもこの季節の特徴といえます。肝臓を労わりながら働きを調え、精神を安定させる生活を心掛ける季節にしましょう。ここでは、春の陽気から乱れがちな心と体のバランスを調える「春の食材」を取り上げ、影響を少なくする食養生についてお話します。
風邪から体を守る
春の風がもたらす「風邪」が、肝臓の機能を低下させマイナスの症状を引き起こすといわれています。 逆に、中国では「陽気」が外部から侵入する病気の原因から身を守る作用があると考えられています。風邪(ふうじゃ)から体を守るために、「陽気」を補う食物を摂ることで抵抗力を高めることが大切に!
にら、ねぎ、ほうれん草、にんにく、とうもろこし、米、大麦、小麦 など
胃腸を補う
胃腸は体内活動のエネルギーを生み出す場所とされています。肝臓と胃腸の関係は密接で、ストレスから肝臓に負担が掛かることで胃腸にも悪影響を与え、食欲不振や便秘などの症状を引き起こしやすくなります。肝臓の状態に左右されない胃腸を補う食材の摂取を心掛けましょう。
じゃがいも、山芋、はちみつ、はと麦、そら豆、米、とうもろこし など
肝臓を補う
肝臓の働きが過剰になると体液や血液を失いやすくなり、それは目や爪に疲れとして表れ始めます。
しかし、水分を十分に補給することで循環する血液量が増え、老廃物の排泄をスムーズにして肝臓の解毒作用の負担を軽減するといわれています。
春が旬の食材は非常に多く、春○○と呼ばれる栄養価の高い新鮮な食材が店頭にも並びます。こうした生鮮食品を十分に摂り、冬に不足しがちなビタミンやミネラルを補給しましょう。
肝機能と食の関係
肝臓は自律神経や目、筋膜や血流などど関わりが深く、イライラや目まいまた頭痛や
不眠といった症状が現れるのも、肝機能が弱っているためといえます。
肝機能が低下している時には「オルニチン」を含む食材を積極的に食卓へ。
体のダルさや様々な不調に働きかける栄養成分を意識した食事バランスを心掛けましょう。
血液を補い、肝臓機能を調える
人参、ほうれん草、きくらげ、レーズン、ぶどう、イカ、落花生 など
体に潤いを与える
いちご、アスパラガス、小松菜、ほたて貝、豆乳、クコの実 など
総合力で働きかけるオルニチン
しじみ、あさり、チーズ、マグロ、ひらめ、えのき茸、パン など
肝疲労をチェックしてみよう!
日頃気付かない肝臓の疲労度を把握してみましょう。
□ 目が疲れることが多い
□ 口の中に苦味を感じる様になった
□ 頭痛がする
□ めまいを感じる
□ イライラすることが多い
□ 体の脇や胸が張る様に痛むことがある
□ 肌にツヤがなく、爪が割れやすい
□ ため息が増えた
□ 睡眠不足を感じる
※3~5個あてはまる。
⇒ 肝臓が疲れはじめている進行形の状態。症状は軽いものの、悪化する前に早めのケアを急ぎましょう。
※6個以上あてはまる。
⇒肝臓に疲労が蓄積されている状態。この季節に肝ケアをして夏に持ち越さない様にしましょう。
生活環境や食生活、睡眠の質をもう一度見直して見ましょう。
春の食材で解毒を
春が旬の食材の中には解毒作用が期待できるものも多く、冬の間に蓄積された脂肪分の分解や解毒作用を高めてくれるアルカロイドやポリフェノールを摂取することができます。
旬の食材の王様は、やはり季節が限定される“山菜”です。独特の苦味と香り、アクを持つ山菜の新芽を食すことでその効果が期待されています。
また、春が旬の露地ものの野菜や果物には血の巡りを良くしたり、美肌に役立つ抗酸化作用成分が多く含まれています。それぞれの諸症状を補う食材(※上記)は、この春だからこその力を持つ旬のものから効果を是非お試し下さい。
わらび、ぜんまい、たらの芽、こごみ、うど、わさび など
材料(4人分)
- 鶏ささみ肉
- 8本(約280g)
- 塩麹
- 大さじ2強
- 小麦粉
- 大さじ4
- 片栗粉
- 大さじ2
- 水
- 約60cc
- アーモンドスライス
- 約120g
- 揚げ油
- 適宜
- カレー粉
- 小さじ2
- 塩
- 小さじ1
- ゆずこしょう
- 小さじ1
- みりん
- 大さじ2
- 味噌
- 小さじ2
- トマト
- 大2個
- 塩
- 少々
- オリーブオイル
- 大さじ2
- パセリ
- 適宜
鶏ささみの香り揚げ
五月病の症状には様々なものがあり、いくつかの症状が重なって悪循環を起こすことも珍しくありません。バランスの良い食生活を心がけることで様々な栄養を取り込み、吸収率を上げる栄養素の相乗効果を狙いましょう。
メニューでは、鶏のささみ肉を塩麹で旨みをプラスし柔らかく仕上げ、集中力を高めるとされるチロシン豊富なアーモンドと、自律神経を整えるビタミンB群の鶏ささみ肉を組み合わせ、2種の香りだれで頂きます。アーモンドは焦がさずゆっくり揚げることで、香りが引き立ち食感良く頂けます。
- 鶏ささみは、筋を取り除いて、食べやすい大きさのそぎ切りにし、塩麹を振りかけ馴染ませておく。
- 器に、カレー粉+塩を合わせておく。
- 鍋に、みりんを入れて電子レンジで数秒加熱し、味噌とゆずこしょうを加えて混ぜ合わせておく。
- トマトは、ヘタを取り除き、幅約1cmの輪切りにしておく。
- ボウルに、小麦粉と片栗粉を合わせ、水を加えてのり衣を作る。バットに、アーモンドスライスを広げる。
- 鶏ささみ肉に、①の粉衣とアーモンドスライスを順につける。
- フライパンに、揚げ油を約1cm入れて加熱し、低温で②を香ばしく揚げる。
- フライパンの余分な油を取り除き、オリーブオイルを加えトマトを置いて両面に塩を振り、焼き色がつくまで加熱する。
- 皿に、③と④を盛り付け、パセリを散らす。更に、カレー塩とゆずこしょう味噌を添える。
材料(4人分)
- ショートパスタ(お好みのもの)
- 420g
- 塩、オリーブオイル
- 適宜
- 厚切りベーコン
- 80g
- 菜の花
- 1束(約120g)
- きんかん
- 4個
- 牛乳
- 100cc
- 生クリーム
- 200cc
- 粉チーズ
- 大さじ4
- 塩、こしょう
- 少々
- アボカド
- 1個(約200g)可食部:140g
- オリーブオイル
- 適宜
菜の花ときんかんのクリームパスタ
春が旬の食材には、色合いや食感も楽しめるものが多く、青菜や山菜など独特のほろ苦さを持つ野菜も店頭に並びます。メニューでは、イライラの緩和に役立つとされるカルシウム豊富な菜の花やチーズ、集中力を高めるとされるチロシン豊富なアボカド、自律神経を整えるビタミンB群の豚肉、ストレス緩和に役立つとされるビタミンCのきんかんを組み合わせ、見た目や食感の楽しめる一皿に!旬の食材は栄養価も高く様々な効果が期待されています。この時期にしか頂けない美味しい食材で、ココロもカラダも元気になりましょう。
- 厚切りベーコンは、幅約5mmにカットしておく。
- アボカドは、皮と種を取り除き、約1cmの角切りにしておく。注)変色を防ぐため、加える直前にカットしましょう。
- きんかんは、幅約2cm程度の輪切りにし、種を取り除いておく。
- 深鍋に、湯を沸かし、塩とオリーブオイルを加え、お好みのショートパスタを茹でる。
- ①の鍋に、菜の花を入れて固めに茹で、取り出して冷水にくぐらせ、水分を切って食べやすい大きさにカットする。
- フライパンに、オリーブオイルを加え、厚切りベーコンを炒める。
- ③へ、牛乳、生クリーム、粉チーズを加えて弱火で温め、更に菜の花ときんかんを入れて軽く熱を通す。
- ④へ、①のパスタを水分を切って加え、全体を絡めて塩とこしょうをして味を整える。
- ⑤へ、アボカドと少量のオリーブオイルを入れ、軽く和えて皿に盛り付ける。