空気さえ冷たいと感じる季節には、外出も億劫になりますね。気温の低下と共に、体温も下がり血流量も減ることから、胃や腸の働きだけでなく全身の活動が鈍くなってしまいます。筋肉量が少ない女性には特に厳しい季節ですが、寒さが与える体へのダメージは想像以上に大きなものです。
温かい夏に比べて冬になると症状が悪化し、患者さんの数も急激に増えるのが便秘です。寒さを感じると外出も少なくなり運動不足に。活動量が減ることや摂取する水分量が少なくなることも、便秘の原因と考えられています。冬は空気の乾燥が進む為、喉の渇きを感じなくても水分は意識して摂る様に心掛けましょう。摂取した水分が大腸まで届くのは、わずか1割程度と言われています。冬の水分補給のポイントは、胃腸を冷やさず副交感神経を高める温かい飲み物が良いでしょう。また温かい飲み物にも内臓を冷やすものがあります。珈琲やビール、麦茶などはそれにあたります。体の芯から温める、さ湯や発酵茶(ほうじ茶、紅茶、中国茶)などを選ぶと良いでしょう。
ここでは、冬の寒い季節に悪化しやすい「便秘」に注目し、その予防策とケアについてお話します。
便秘と季節の関係!?
通年この症状に悩まされる方も少なくありませんが、季節によってその患者数には開きがあり、なぜ起こりやすくなるのか原因を知ることで、未然に回避できる症状の一つと考えられています。
(春)
入学や進学など子供たちの環境も変化し、社会人にとっては転職や人事移動などで新たな環境でのスタートを切る時期でもあります。そのため新しい環境に慣れるまでの間、過度な緊張状態が続き、蓄積されたストレスが体にも影響し、自律神経の乱れや便秘が起こりやすくなります。
(夏)
暑さのために外出が減り運動不足に。また室内の冷房で体は冷え、外気との温度差に体がついて行かず自律神経を乱すことに。水分が最も奪われる季節ですが、あまり水分補給をしない方は特に腸まで十分な水分が届かず便を硬くしてしまいます。
(秋)
食欲の秋とも言われますが、暴飲暴食から胃腸の働きも低下し、便秘などのトラブルを起こしやすくなります。旬の食材に偏り気味な食生活になるのも、豊富な食材と過ごしやすい環境が関係しています。
秋の代表的な果物柿には、下痢を止める成分のタンニンが含まれており、一度にたくさんの量を摂取することで便秘の原因にもなると言われています。体を冷やす食材でもあるので、適度に取りましょう。
(冬)
寒さが原因となり外出を控えることで運動不足に。冷えにより腸のぜん動運動が鈍くなり、便秘を引き起こしやすくなります。便秘が慢性化することで腸内にガスが溜まり、血液が濃い状態に。すると毛細血管まで血液が循環し難くなるため、体の冷えは更に進み腰痛などの原因にもなってきます。
冬の便秘を予防するには?
冬になると増える症状の一つが便秘です。寒い季節に現れるいくつもの要因を見直し、予防策となるヒントを生活の中に取り入れ改善していきましょう。
- その① 「規則正しい生活を!」
- 生活のリズムが崩れることで体内リズムも乱れ、毎日の排便が期待できなくなります。食事の時間や寝起きする時間を一定にすることで、自然でムリのない排便を心掛けましょう。
- その② 「食生活の改善を!」
- 偏りの少ないバランスメニューが理想的ですが、毎食とは中々行かないものです。一日三食のトータルバランスを目指し、その中にも食物繊維を含む食材と十分な水分補給で便秘を撃退しましょう。食物繊維は腸内の老廃物を排出する働きがありますが、取り過ぎると逆に便秘を引き起こしやすくなるので注意!
- その③ 「適度な運動を!」
- ストレッチやウォーキングなど体を動かすことで、腸の動きも活発に。入浴後のマッサージなども習慣化することで効果が期待できます。ムリなく少しずつの時間を継続することが大切です。
- その④ 「冷えを防ぐ対策を!」
- 冷えを感じたら放置しないことが大切。手袋や靴下、腹巻や遠赤外線の熱を利用した衣類などの着用を。 入浴はシャワーで済まさず、ゆっくり湯船に浸かり体の芯から温めましょう。運動や食生活で基礎体温を1℃上げるだけでも、体内代謝は高まり便秘の解消になります。
食物繊維の種類と特長
食物繊維は、大きく分けると2種類。
水に溶けにくい[不溶性食物繊維]と、水に溶ける[水溶性食物繊維]とがあります。
不溶性食物繊維
穀物や野菜などに含まれ、保水性が高く、胃や腸で水分を取り込むと腸を刺激してぜん動運動に役立ちます。歯ごたえのある食材に多く含まれているのも特長です。
切干大根、おから、ブロッコリー、しめじ、大豆、納豆、こんにゃく、バナナ、りんご、寒天 など
水溶性食物繊維
昆布やわかめなどの海藻類また果物などに含まれ、粘着性があり、胃腸内をゆっくりと移動するためお腹が空き難く、食べ過ぎを防いでくれます。発酵性も高く、大腸内で発酵また分解が進むとビフィズス菌などが増え、腸内環境を整え整腸効果も期待できます。
きくらげ、さつまいも、干しひじき、かんぴょう、ごぼう、枝豆、かぼちゃ、いちご、いちぢく など
食物繊維以外の便秘解消に働く食べ物
ヨーグルトなどに含まれる乳酸菌やオリゴ糖を摂取することで、腸内の善玉菌(ビフィズス菌)が増え、大腸の働きが活発になります。腸内環境を整えることで、便秘の解消だけでなく美容にも効果が期待できます。
材料(4人分)
- 糸寒天(乾燥)
- 8g
- ミックスビーンズ(水煮)
- 50g
- 枝豆(冷凍)
- 30g
- ブロッコリー
- 小房8個(約100g)
- さつまいも
- 細約1/2本(約100g)
- オリーブオイル
- 大さじ1
- ベーコン
- 40g
- しめじ
- 160g
- きゅうり
- 1本
- 黄色人参
- 60g
- パセリ
- 大さじ2
- 粒マスタード
- 小さじ1と1/2
- 塩、黒こしょう
- 少々
- はちみつ
- 小さじ1
- フレンチドレッシング(市販品)
- 大さじ4
- 金ごま
- 大さじ2/3
- 黒ごま
- 大さじ1/3
糸寒天と野菜のスプーンサラダ
寒さを感じると外出も少なくなり運動不足に。活動量が減ることや摂取する水分量が少なくなることも、便秘の原因と考えられています。冬は空気の乾燥が進む為、喉の渇きを感じなくても水分は意識して摂る様に心掛けましょう。
レシピでは、水に溶けにくい『不溶性食物繊維』(保水性が高く、胃や腸で水分を取り込むと腸を刺激してぜん動運動に役立つ)食材と、『水溶性食物繊維』(粘着性があり、胃腸内をゆっくりと移動するためお腹が空き難く、食べ過ぎを防ぐ)の食材を組み合わせ、双方の効果からお腹に優しく働きかけ腸内環境を改善へと導きます。大きなスプーンで色んな素材を一緒に!
- 糸寒天は、袋裏面表示通りに戻し、約2cm程度にカットしておく。
- ブロッコリーは、小房に分け、さつまいもは半月にカットして、塩を加えた熱湯で硬めに茹でておく。
- ベーコンは、カットしておく。
- しめじは、食べやすい大きさにカットしておく。
- きゅうりは、ピーラーで皮を数か所むき、塩もみをしてから水洗いし、食べやすい大きさにカットしておく。
- 黄色人参は、食べやすい大きさの乱切りにして、塩を加えた熱湯で約10秒さっと茹でておく。
- パセリは、みじん切りにしてからガーゼに包み、流水でアクを流して水気を切っておく。
- 金ごまと黒ごまは、一緒に乾煎りをして軽くすり潰しておく。
- フライパンに、オリーブオイルを敷き、ベーコンを香ばしく炒め、更にしめじを加えて軽く炒めて取り出す。
- 大ボウルに、ドレッシング(粒マスタード~黒ごま)を入れて混ぜ合わせ、全ての材料を加えて手で(※ビニール手袋等)空気を含ませる様に、まんべんなく全てを馴染ませる。
材料(4人分)
- 米
- 600cc
- 押麦
- 1袋(約50g)
- 和風だし汁
- 550cc
- 鶏挽き肉
- 140g
- 油揚げ
- 80g
- しめじ
- 100g
- マッシュルーム
- 小6個~
- トマトペースト
- 1袋(約20g)
- バター
- 10g
- 酒
- 大さじ2
- しょうゆ
- 大さじ2
- みりん
- 大さじ3
- 里芋
- 中4個
- 枝豆(冷凍)
- 大さじ3
- ブロッコリー
- 小房8個分
繊維たっぷり合わせご飯
二種類の食物繊維を、一度の食事にバランス良く盛り込み、免疫細胞の集まる腸の環境を常に整えることであらゆるトラブルを回避しましょう。レシピでは、不溶性食物繊維(保水性が高く胃や腸で水分を取り込むと腸を刺激してぜん動運動に役立つ)であるしめじやブロッコリーを始め、水溶性食物繊維(粘着性があり、ゆっくりと胃や腸を進むため空腹になり難く、腸内環境を整え整腸作用に役立つ)である押麦や里芋を合わせた、和創作炊き込みご飯に。イノシン酸のかつお出汁に、グルタミン酸の旨みを持つトマトを合わせた、塩分控えめでも旨みのあるメニューに仕上げています。
- 油揚げは、細かくさいの目にカットしておく。
- マッシュルームは、4等分にカットしておく。
- 里芋は、皮をむいて食べやすい大きさにカットしておく。
- ブロッコリーは、蕾の部分を細かく刻んでおく。
- 枝豆は、解凍して豆を取り出しておく。
- 炊飯器に、洗米した米と押麦、和風だし汁を入れる。
- ①へ、調味液(トマトペースト~みりん)を加え、全体を軽く混ぜ合わせておく。
- フライパンに、オリーブオイルを敷き、鶏挽き肉を香ばしく炒める。
- 更に、③へ油揚げ、しめじ、マッシュルームを加えて炒め、塩とこしょうを振って下味をつける。
- ②へ、④と里芋をのせて炊く。
- 炊きあがったら、熱いうちに枝豆とブロッコリーを加えて大きく切り混ぜ、器に盛る。